リヨン日本人会短歌クラブ
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第3回歌会の報告(2012年9月6日)

みなさま、大変お待たせいたしました。
9月の歌会の報告をさせていただきます。

2012年夏の思い出、家族で過ごしたヴァカンス、帰郷したときの日本での想い、または
お盆の情景、さまざまな8月の歌が詠まれました。

今回は題詠:八月部門と自由歌部門の歌、それぞれ1首ずつ提出していただきました。

3行コメントは、9月の歌会で司会&世話役を務められたN.S.さんが執筆されました。

どうぞご鑑賞ください。

二〇一二年九月六日「リヲンのつばさ」歌会作品集

【 題詠:八月部門 】

第一席(三票)

紺碧を白刃がきらめき澄みわたる真夏の朝の小つばめの群 K.H.
夏の早朝、買い物に向かういつもの道でふと目をあげた時に出会った風景。朝の澄んだ空気の中、紺碧の空を切り開くように飛んで行く白い燕の群れが清々しい。リヨンの燕はhirondelleではなくて小柄なmartinet(雨燕)だとか。

第二席(二票)

男らの肩に揺られしマドンナに心あわせしロザリオの夜 M.Y.
聖母被昇天祭前夜祭。マリア像を神輿のように信者が担いで賛美歌を歌いながら町を練り歩く。この長閑な風景に、基督教文化を熟知しない男性読者が隠微なエロスを感じたとしても、あながち的外れとは言えないのかも知れない。

門先の迎え火見ずは久しからず君を偲びて遠空(えんくう)を追う
 B.Y.
お盆になるといつも思う、遠いリヨンの地にも父の霊は来てくれるだろうかと。「迎え火」「偲びて」「遠空」などの美しい言葉が、この世にない存在のイメージを喚起させる。バランスも良い。但し「久しからず」は「久しかり」とすべきか。

水飛沫(みずしぶき)弾ける子供の笑い声阿夫(あぶ)利(り)の峰の大空高く
 P.M.
子供時代から自分を見守ってくれた大山(おおやま)(阿夫利神社)に里帰り。じゃぶじゃぶ池で遊ぶ我が子を見ると、被災者のそして全ての子供達の幸福を祈りたくなる。元気な声が本当に天まで届きそうな朗らかさが素晴らしい。

第三席(一票)

明けきるとじわりと暑い八月の庭の草抜きサウナの如し Tsu.H.
東京のお母様の家の庭で早朝から雑草抜きをした時のこと。作者は、下の句がどうもしゃれた感じで終われないとご不満。確かに「サウナの如し」が詩的表現でなくて残念だが、朝から蒸し暑い日本の夏の感じはとても良く出ている。

茎(くき)葉(は)朽ち花の色失せてもリンと立つ八月のバラのごとく吾れは老いたし Te.H.
美しい花の季節が終わって汚くなったが、誇り高く立ち続ける庭のバラに、老いに立ち向かう自身の思いを重ねている。作者の人生を感じさせる堂々とした作品。本当にそのような人生を全うして下さい、と心からお祈りしたい。

八月の家族豊かに遊べるを養いてとうとうと流れるローヌ N.S.
船遊びをしたり、堤防で自転車やボール遊びをしたり、家族がそれぞれ思い思いのバカンスを楽しんでいる。そんなフランス人を優しく抱きかかえるように流れるローヌの大河。「養いて」の語にその感じが良く出ている。

八月は死者の蛍火ただよいて生者の影が地を這う月夜 I.I.
八月の帰省。月明かりの下、田舎の道を歩く自分にどこまでもついて来る影。お盆は、この世に帰ってきた死者が主役で、生者の方が影となる。夏の夜の妖しい雰囲気を写実的に描写した完成度の高い作品。

ゆくりなく蝉の声聞く桂坂(かつらざか)君と過ごした夏は遠くて V.R.
 お寺の多い品川・高輪間の閑静な急坂(桂坂)を歩いていると、突然、少女時代にこの場所で過ごした女友達の記憶が蘇って来た。読みやすくて、嫌みのないところが良い。この蝉はひぐらしだろうか。

その他作品

赤花の紅(あか)紫(むらさき)の波寄せて見え隠れする干し草の梱(バル)
オーブラックを旅行中に出会った風景。背の高いépilobe(赤花)の群生する中に、balle de foin(干草ロール=梱)が見え隠れしている。美しいフランスの田園風景が、美しい日本語のリズムで詠われて心地よい。

風通りよいのはパパの部屋だけと家族で添い寝寝苦しき夜
暖かい家庭を想像させる微笑ましい歌。家中で一番涼しい部屋で気持ち良く寝ていたら妻子がすり寄って来て暑苦しい、という最近珍しい権威あるお父さん。クーラーがないのは経済力がないからではなくてフランスだから。

八月の青空見ればうろこ雲木陰のなかに秋の気配が

八月の青空の下でも、よく見れば秋の気配が漂って来ている。子供のように素直でかわいらしい作品に好感が持てる。フランスの夏は本当に短いが、今年は特に秋の訪れが早いような気がする。

りんりんと風の音(ね)やさし炎暑過ぎ灼かれし肌は今も熱きも
真夏の太陽に焼かれた肌がひりひりと痛い。そして、夏のアヴァンチュールに燃えた肌が今も火照っている、というイマジネーションを抱かせる。下の句の官能的表現に「りんりんと」がマッチしていないのが惜しい。

【 自由歌部門 】

第一席(三票)

空と海閉じゆく夕陽落つあとはただ一面の碧(あお)に抱かれる M.M.
大海原に夕日が沈んでいく時間と情景の変化をうまく捉えている。静けさの中で余韻を感じながら、大自然の前で無力に立ち尽くす小さな人間としての作者。不思議に美しい歌の舞台は大西洋か、太平洋か。

ひとときのひらりほほ染め紅桜咲きてはかなし散るもあでやか B.Y.
リズムと音、イメージと色が綺麗な歌だが、実は浮気願望の方への戒め という恐ろしい作品。この世に紅桜などなく、胸時めかせても進めば地獄、さっさと止めなさい、という教訓歌。実体験ではないと作者は言うが・・・

第二席(二票)

朝顔の群青に染まる露一つその青ゆえに孤高をうらやむ I.I.
牧水の「白鳥は悲しからずや」の歌を思い起こさせる。京大付近を散歩中見つけた庭先の大輪の朝顔。その青に染まる露に、孤高を志向する男の本能を刺激された中年男性よ、どこから来てどこへ行こうというのか。

距離とりて少女水辺に遊べるを見守る我に不在の家族 N.S.
我と少女との関係、我と家族の関係が良くわからない。フランスの田舎の渓谷で、友人家族の美しい少女が水と戯れているのを見守りながら、単身赴任中の作者が家族との記憶に想いをはせているとのこと。


波の音砂にまみれし七百頁西行といる地中海の藍(あお)
 M.Y.
バカンス中の海辺で耽読する辻邦生作「西行花伝」。華やかと静謐さ、現代と中世の対照の妙。軽妙でしゃれた感じも良い。しかし水着美女のあまた侍る南仏海岸で西行読みますかねえ、と場違いな感想を披露した中年男が。


第三席(一票)


鎧戸(ヴォレ)おろし息をひそめる遠き街で無防備に知る君の旅立ち Z.T.
バカンス中の人気のないリヨン第6区。「息をひそめる」「無防備に」
などの言葉が、突然届いた友の訃報に接した作者の感情を良く表現している。これだけであの世への旅立ちと解釈するのは無理がある、との意見も。


今日もまたシリアの民の血は流れやり場無き怒りドロドロとしたたる
 Te.H.
連日報道されるシリアの民衆の悲劇。「リヲンのつばさ」歌会初の時事詠、社会詠として、重い内容に正面から向き合った姿勢は高く評価される。「今日もまた」なのは事実だが表現としては拙い、との意見も。


その他作品


快適に走る列車からぽっかりと青い芝生に色とりどりのユニフォーム
列車の窓から見るともなしに外を見ていると、建物の間に突然現れた緑の芝生のコートと華やかなユニフォーム。さわやかで美しい一瞬の景色を切り取った。これは新幹線かTGVか、野球かサッカーかが気になった。

蝉の声命の叫びを聞く私じっと見つめる息子の瞳
主語述語目的語の関係が少し曖昧。蝉の命の叫び声に聞き入る私が、その声の方向を必死に見つめる息子の瞳に、命と命のぶつかる激しい光を感じた夏の瞬間。成長する少年を見つめる母の視線。この蝉は油蝉だろうか。

テレビから聞こえけりし蝉の音に思いをはせる平和の響き
原爆記念式典の映像が静かに流れる中、蝉の声だけが聞こえて来る。八月は現代日本人にとって戦争と平和について考えさせられる季節。この蝉も油蝉か。「聞こえけりし」は「聞こえし」「聞こえ来る」などとすべき。


もう終る夏のバカンス黒き肌急ぎ足にも肌寒き朝

バカンス明け、日焼けした人々が街にキャンパスに戻って来たと思ったら、秋がもうすぐそこまで来ていた、という日常の小さな秋の発見。自分の休暇が終わったことを残念がってるようにも読める、という指摘が。


山の道の辺ここそこに咲く野の花を一目見せたいもうかなわない

山頂に近い山道で密かに咲く花々の美しさを大切な人に見せたい思い。そしてその風景を心の奥に大事にしまっておきたい気持ち。作者にとって大切な個人的体験が、短歌作品として読者の心で共鳴する。


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前半の勉強会で。初参加のP.M.さんは今回「人生で初めて短歌を詠んだ」そうです。
すばらしい歌を披露されました。

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こちらも初参加のTさんご夫妻。
畑で作られた美味しいトマトとキュウリをご持参いただきました。

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さあ、ほろ酔いの会を始めましょう♪

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たくさん並んだお料理の数々。
もうだいぶ減ってますが^^;。

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もうおひと方、初参加のN.M.さんは来月、司会&世話役を務められます。
よろしくお願いします。

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N.S.さん(写真右)、3か月の司会&世話役ありがとうございました。お疲れ様でした♪


M.M.
by tankalyon | 2012-09-17 19:35 | 歌会報告