リヨン日本人会短歌クラブ
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第一回歌会報告(2012年7月5日)

先日の第一回歌会では、みなさまの真摯な気持ちのこもったすばらしい歌の数々に、感動を覚え、また共感した方も多かったことと思います。またほろ酔いの会では、恋愛論にも発展し大いに盛り上がりました。
(2行コメントはN.Sさん執筆)


二〇一二年七月五日「リヲンのつばさ」歌会報告


第一席(3票)
しその葉のしずく光りてリヨンの地ここぞ故郷と我迷いしも B・Y
一度はリヨンに住み着くと決意したものの、やっぱり日本に帰ろうかという迷いの気持ちを歌っている。望郷の思いが、しその葉という日本を象徴する身近で具体的なものの中に見事に表現されていて、票を入れた人だけでなく多くの人の共感を呼んだ。一方、分かり易過ぎるとの意見も。

第二席(2票)
君が代に思いもよらず身震いし国に想いを馳せて応援 F・M
先日リヨンで行われた女子ハンドボール五輪予選に際しての作。当日、日の丸や君が代に触れて、自分でも意外ながら全く同じ感情がこみ上げてきたという人も。

ソーヌ行く小さき船のさざなみにふと渋滞の憂い忘るる T・H
荒々しい流れのローヌと違ったさざ波のソーヌ川沿いを散歩する日常の一コマの景色が目に浮かぶようだ。憂いの対象が渋滞という点には、だから何なの、との意見も。

長雨に鏡に映れば口唇のヌーディーカラーくすむばかり
 V・R
梅雨の時期の憂鬱な気分、ぼんやりとした雰囲気のイメージを喚起し、様々なことを想像させるちょっとエロティックな雰囲気も漂う歌。ヌーディカラーの語感が印象的。

第三席(1票)
唇に君の体温感じてる背中の鍵盤奏でるピアニッシモ M・Y
信号待ちの車内から、若い男女が抱擁している場面を目撃した際の歌。男の背中に回した女性の戸惑ったような微妙な手の動きを、鍵盤を引く手に見立てた表現がおもしろい。

ナチに抵抗し戦う人々がトラブールを駆けぬけた足音が聴こえる I・Y
リヨンの人の知恵を感じる、作者がリヨンで一番好きな場所。石畳を足早に駆け抜けて行く当時のリヨン人たちの靴音が本当に聞こえてくるようだ。

はばたきで目覚めた朝の驚きは記憶の奥から羽拡げたのか
 K・H
鳥のはばたきで目覚めるように、作者の記憶も目覚めて行くのだろうか。不思議な気になる歌。

その他作品
暑い中僕の背中に白いマル汗が乾いてシャツのキャンバス B・J
かわいい分かり易い歌。自分を表現するのに僕という語の使用は考えさせられる。純粋のフランス人である作者の日本語力に、一同敬服。

いたずらに運命からめて花いちもんめ繋がるぬくもり神のまにまに M・M
人と人との運命的な関わりを花いちもんめにたとえている。花いちもんめは、既にたくさんの歌に歌われているので、注意が必要。

いにしえのサヴォアの都拠って立つグジョー英子に降る花の雨
 N・S
シャンベリー日仏協会でがんばって活動しているグジョー英子さんに敬意を表した、ただそれだけの歌。

革命家空しい死に様哀れなり時の運命何をか語らん G・N
テルアビブ空港乱射事件の岡本公三の運命に、作者の日本在住当時の近所の学生への思いをだぶらせて歌った。短歌作品としては抽象的に過ぎる。その強い感情をもっと多くの具体的作品で表現しては、というアドバイスが。

かなたからこの胸を貫くソーン河はるかに去りし愛しききみの聲
 I・I
かなたより流れ来るソーン河の流れが、遙かに遠い恋愛の記憶と重なって胸を貫いて行く。歌会終了間際、酔いが回った作者の詠んだ『人妻にて恋できずと言う君のこと信じてあげるよシャバダバダ』は傑作。

卒寿にてかくも鮮やぐ彩色で画布を染めうる画家をことほぐ T・H
ローヌアルプ州庁舎でのトレフュムス展に取材した歌。美しいが、声に出した時に読みにくくて、音楽的にまずいのでは。

もうこれでフランス暮らし三十年人生半分フランス人 Y・K
どなたの作品か一目瞭然でした。

夕映えの高原の十字架(クロス) つつましく今日も見守る巡礼の道  Z・T
オーベルニュの巡礼街道にひっそりと立って何百年も巡礼者を見守っている小さな十字架。美しい歌だが作者の立ち位置が見えない。


8月の歌会は第一木曜、8月2日19時より。
歌会テーマは「愛」 恋愛はもちろん、家族愛、友愛、祖国愛など。
一人3首まで提出可能です。

さて、どんな愛の歌が披露されることでしょう。楽しみですね。

M.M
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by tankalyon | 2012-07-24 05:58 | 歌会報告